ワークライフ・バリュー〜きっと見つかる自分らしい働き方

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デザインは組織力。1人ひとりの成果を最大限に生かしたい 1-3(小泉達治さん・有限会社コイズミデザインファクトリー 代表取締役)

【ワークスタイルインタビュー:1-3】

 小泉達治 さん(有限会社コイズミデザインファクトリー 代表取締役

 http://www.koizumidesignfactory.com

----  聞き手: 前田めぐる

https://www.maedameguru.com

 

小泉: それから、いま残業をするなということがすごく言われるでしょう。

残業=悪、みたいな。何時間削減するとか、数字の上だけの話になっています。

そうじゃなくて、人にフォーカスしたいと思いますね。

残業してる、何してるんだろう。何かを達成したくて、本人の意思でやってるんだとわかったら、それはさせてあげたほうがいですよね。能力以上の仕事をやってて、それをクリアしたくてやってることもあるでしょうし。


とにかく、数字よりも「人」をものさしにしたほうがいい。そしてその「人」はひとりひとり違うわけです。個性も能力も。

それを数字でしか判断しないから、ブラックかそうでないかの論議になる。

もちろん、ニュースになるような、あんな性質のブラックはいけませんが、残業時間という数字だけで判断したら、人も会社も伸びません。

もっと1人1人をみなくちゃいけないんですが、それができるマネージャーがいないからブラックになるんだと思います。

 

-----たしかに。そうやって、社長がじかにそれぞれの社員さんを見守っている環境で仕事ができることは幸せです。
1人ひとりを生かせる10人の会社と、そうでない10人の会社とでは明らかに違いますね。

 

小泉:そうなんです。デザインは組織力、だと思います。

大企業と同じことはできないですから、1人ひとりの成果を最大限に生かすことが大事です。

 

-----それでも、若かったスタッフさんが、また教える側になってこられたというのは楽しみなことですね。5年後、10年後と考えればさらに楽しみです。

 

小泉:ちょうど今、いい感じの年齢構成なんです。

40代の主婦、40代の独身、30代の主婦そして、子どもがいる在宅の主婦,20 代から30代にかけて、主婦と独身者……と続いています。

かたちとしては、非常にいい感じです。

-----子どもがいると全く新しい体験ができて、新しいアイデアがわくので、事務所としてもこれからこういうところをクライアントにしていきたいねとか、いろいろ生まれてきそうですね。

 

小泉:スタッフだけのブログがあるんです。在宅のスタッフも書込むし、主婦のスタッフも書込むし、独身スタッフも書き込むんですね。

多分ご覧になると「ここの会社ってよそにはないな」と見てもらえるんじゃないかと思えます。

そういうことがうちの事務所にも大きな貢献をしてくれていると思います。

 

-----こんな人たち、まさにユーザーと一致する層のクリエイターがつくっているということは、まさに「望む形がここにある」と思わされます。

 

■女性からみれば、働きやすい会社だと思います。

 

-----スタッフさんに仕事を任せる、託すというのは、やりやすいことでしたか?

 

小泉:少ない人数でやっていた時期などは仕事が常に満杯状態なんです。

すると仕事を振るしかなくなってくる。ただ一番上と下とでは仕事のスキルも違うから、同じ仕事を回せない。となると、違うレベルの子たちに違う仕事をどうふりわけて、伸びていくか。そのむずかしさは常にあります。

 

-----その采配は、どなたがなさるのですか。

 

小泉:それはぼくがします。もしくは、いちばん上の女性スタッフ2名ですね。

 

----   監督さんがいて、マネージャーさんがいる。そんな感じですね。

 

小泉:うちの仕事の進め方がよそと違うのも大きいと思います。よく他所で聞くのは担当制なんです。

デザイナーが5人いたら5人それぞれにクライアントをふる。すると、Aさんは忙しく、Bさんは暇ということもある。AさんにBさんの仕事を聞いてもわからないし、その逆も分からない。

ところがうちは、1つの仕事を、複数のスタッフで分業しながら関わるので、レベルごとに仕事が皆あるんです。入ったばかりのスタッフは文字のトレースや画像の変換などばかり1 年くらいやるんです。だんだんレベルがあがっていくと、定期ものの決まったデザインをやってもらう。

徐々にレベルが上がっていって長くいると1から10 まで自分でできるようになるわけです。

だからうちのスタッフは、1日の中でもいろんなクライアントの仕事をします。

 

 

-----人が育つ仕組みがちゃんとできている、という感じですね。

 

小泉:それは考えてそういう方法にしたんじゃなくて、最初は誰もできないのは当たり前で、できることをしてもらう。そこから進めて今のかたちになってきただけなんですが、でも聞くとそうじゃない事務所が多いみたいです。

そこは、他所とは大きく違うところですね。

 

----代理店の仕事もなさるんですか。

 

小泉:代理店からの仕事は、ほぼゼロです。

昔から、あまりないですね。ぼくがそういう人脈のある会社にいなかったのもあります。 アパレル会社であり、その関連であり、そこを知っている印刷会社であり……そういうところの仕事が常に満杯の状態でやってきました。

営業をする時間もなかったんですね。

 

-----コンペを引き受けておられますか。

 

小泉:ないとは言いませんが、なるべく参加しないようにしています。

よほど策があれば別ですが、こちらから進んでやらせてというのはないですね。

コンペというのは、条件が一緒とも限りませんし。値段だけで決まることもあるでしょう。選ぶ基準がちゃんと見えてなかったり、最初と違ったり。

最悪なのは、3社なら3社のプランを前に並べて、たとえば投票形式で決めるときです。一見平等なようですが、これほどよくない選び方はない。

たとえば票が一番集まったとしてそれがベストかどうかは言いきれない。結局大衆に迎合するものになってしまいます。

デザインってそうなったら絶対良くないでしょう。だから、投票形式であればうちは降りると言います。

 

 -----それがいいと思います。

 

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続く

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【ワークライフスタイル・インタビュー 1】