ワークライフ・バリュー〜きっと見つかる自分らしい働き方

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皆が平均的に「いい」ではなくて、 自分が「すごくいい」と思うこと。それが渡米先で見つかりました。3-2(ことばキャンプ 代表者高取しづかさん)

皆が平均的に「いい」ではなくて、 自分が「すごくいい」と思うこと。それが渡米先で見つかりました。

■   話し手:ことばキャンプ 代表者、作家

http://kotobacamp.com

NPO法人JAMネットワーク 代表

                高取しづかさん

----  聞き手: 前田めぐる

http://maedameguru.com

 

 

独立してフリーのライター仕事が順調に増えてきたころ、夫がアメリカに転勤することになりました。

 

---- どうされたのですか?

 

■高取:そのときやっていたライターの仕事を全部やめて、夫・子供と一緒にアメリカに行きました。締め切りに追われる生活に、疲れてきたという面もありました(笑)

 

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アメリカでは、見るもの聞くものすべて面白かったのです。

子育てネットで、自分たちの経験や感じたことを後輩ママたちに伝える本を書き続けていました。主宰者の髙橋さんに言われたのが「みんなが平均的にいいということではなく、あなた自身がすごくいいと感じたことを大事にして書いてね。それが人に伝わるから」ということでした。

つまり、「こんなことが受けるんじゃないかな」ということではなく、自分が心から「面白い!」とか「役に立つ」と本音で思ったこと、そこを大事にして、あなたの感覚で書きなさい、ということを言われていたんですね。

 

アメリカで暮らしていて、「これは日本のママに伝えたい!」ということがいっぱいあったんです。

 

その中でもっとも心惹かれたのが、アメリカの学校や家庭で行われていたオーラルコミュニケーションのトレーニングでした。

 

実は私は、人前で話すことが大の苦手。日本にいたとき会議の席で発言の機会があっても、頭が真っ白。10人以上いると、あがってしまって伝えたいことが言えなくなってしまいました。書くことはそこそこなのに、話すことにまったく自信がなかったんです。

「プレゼンが上手になりたい、アメリカはプレゼンの本場。行ったらぜひ学びたい」と思っていました。

ところが、地域で行われている講座にはプレゼンテーションのクラスを見つけることができませんでした。

ところがしばらくたって、その理由がわかりました。

アメリカ人は幼稚園や学校で、子どものときから人の前で話すオーラルコミュニケーションを学んでいたのです。

 

当時、アメリカで知り合った「本を作りたい」という日本の女性たちから誘われ、アメリカの暮らしを書いてまとめるサークルに所属していました。みんな何かやりたくて仕方がない女性たち。

オーラルコミュニケーション教育のテーマに「すごく面白い!」と興味をもってくれました。

 

そこで私たちは、子どもたちが通っていた現地校にお願いして、授業を見学したり、幼稚園にボランティアとして入りながら、アメリカの幼稚園や学校で行われていたオーラルコミュニケーションのようすをつぶさに見せていただきました。日本人がアメリカの学校に興味をもっていることを面白がってくれて、どの学校でもとても協力的でした。

 

また、ミシガン州教育委員会の委員長を始め、先生方に取材をしたり、みんなでいろいろ歩き回りました。また、現地のママたちに集まってもらい、家庭で行っていることばの教育をテーマに、座談会もしました。そんなこともまとめていきました。

 

日本人はせっかくいいところがたくさんあるのに、発信力が少なく伝えきれていなくてもったいない。これからの子どもたちには、自分の気持ちや考えをことばを使って表現できるようになってほしいと、強く思うようになっていました。

私たちは、いつしか「日本の子どもたちのために何かをしていきたい!」と大きな野望を持つようになりました。

2001年に帰国して、さっそく本の出版に向けて動き始めました。アメリカでいっしょに行動していた仲間たちの「野望」を実現したい!!スーツケースいっぱいの資料を持って、主婦の友社の編集者に会いに行きました。かなり暑苦しかったと思います(笑)。

編集者の方に情熱が伝わって、出版の企画が通りました。

子育てネットとしてではなく、初めての自分企画による本です。

 

私たちは母親のグループだったので、ターゲットは家庭向けということになりました。

せっかく出版するのですから、ママ目線で「こんな本が欲しかった!」と思ってもらえるような、日本の親子にとってほんとうに必要なものを届けたいと思いました。

そこで、友人でもあった子育てネットメンバーの主力メンバーたちを引っ張り込んで、本づくりが始まりました。

 

ところが、子育てネットのメンバーたちは「アメリカ人みたいな堂々とした立派なスピーチなんて遠い話」と言うのです。でもよく聞いてみると、子どもたちは話し下手で誤解されたり、損をしているから「自分の気持ちを言えるようになってほしい」と願っていました。

 

日本人のコミュニケーションってなんだろうということも、ものすごく考えましたね。「以心伝心」でわかりあえる、ことばを尽くさなくても「察し合う」ことでコミュニケーションしてきた日本。でもこれからは、日本でもことばを使って自分を伝えるスキルを身につけなければならない、という点で一致しました。

 

続く

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【ワークライフスタイル・インタビュー 3-